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あ、他カプ(百合)絡みの話と小話になりますので苦手な方はご注意を。
とりあえず他人様の本を読んでいてハルヒと長門(と朝比奈さん)が仲が良いのを見ると嬉しくなる自分をどうにかしたいと思った。
いやごくごく普通に女子三人組がきゃっきゃしてると嬉しいというのもあるんですが!ハルヒが長門のことを気にしていると嬉しくなる通り越して萌えるんですよダメだな自分!
まあ、そんな脳内ですがなんだか私は、長門が気になってかわいくてしょうがないハルヒと、ハルヒに興味があって手を伸ばしたくてしょうがない長門と、そんな二人を姉か女神か慈母のように慈しみながら眺める朝比奈さんと、そういう女子組を温かい目で見守りつつ自分たちは自分たちでよろしくやってる古キョン、という図のSOS団をこよなく愛しているということに気が付きました。
問題はそんなSOS団は自分の脳内にしか存在しないという点です。もちろん恋愛感情が介在しないSOS団も愛しいことこの上ないですが!
がっつりハル長で一本、それも恋愛が始まるまで書いてみたいのですがなかなか難しそうです。ちとパラレルですがこの間思いついたものがあるので触りだけ。古キョン前提ハル長、予定。
本日も異常なし、と。
俺は昨日取り替えたばかりの白衣が映りこむ分厚いガラスを、正確に言うならその向こう側を眺めてそう記入した。そちらの空間は液体で満たされており、かといって水槽ではない。その中で泳いでいるのは観賞用の熱帯魚ではなく、ましてや食用の魚でもない。水圧に負けないように作られたガラスの筒の中で、眠るようにたゆたっているのは、少女の姿をした人工物だった。
……時間だ。
俺は近くにいた助手に声をかけ、手元のパネルを操作する。室内は別段暗くもなければ、緑色の妖しげな光がそこかしこで瞬いてもいないし、誰かが調合している化学薬品がぼんと爆発したりもしない。至極近代的で清潔なオフィスにも似た、この研究所が俺の職場だった。
ざあっ、と養液(詳しい成分は機密事項であるからして、述べることができない)が排出され、ゆっくりと筒が上がる。実のところ俺は未だに、この瞬間が好きなのか嫌いなのか、自分でも判断がつかない。
「……気分はどうだ?」
少女の濡れた顔の中から、透徹な目がこちらをとらえる。毎回この質問を俺はして、毎回返ってくる答えは同じようなものだ。その間に、助手の一人である女性が少女の肩からタオルをかける。別のタオルで丁寧に養液を拭っていく。少女は俺から目を逸らさない。
「問題ない」
その唇が紡いだのはいつか聞いていたのと同じ声で、俺はその声を聞く度に懐かしいような、とてつもない裏切りをしているような、そんな気にさせられる。だがそんなこと、少女には関係ないのだ。
A-004、それが少女に与えられた固体識別名だった。だがそれではあまりに味気なくて、俺ともう一人だけがこっそりと別の名で少女を呼んでいる。姿形は人間の女の子で、年頃で言えば中学から高校生への境目、だ。そういうふうに、俺が作った。
少女は所謂アンドロイドというやつだった。ロボットとは違う、その全てが無機物で出来てはいない、正しく人工生命体だ。その髪の毛一本、爪の先一つとっても人間と構成物質は変わりやしないが、在り方が圧倒的に違う。少女は受精卵から分裂を繰り返し母なる子宮に育まれて生まれたわけではなく、実際「完成した」当初からこの姿だった。だが成長はするはずだ、理論的には。
恐らく世界で初めて成功したはずの完全人工生命体だったが、俺としては当面学会に発表する気にもなれず、出資者も同じ考えだったのでまだこの小さな研究所内の人間しかこの事実は知らない。
そしてまだ少女のことを完成とは言えないのだった。ハードはほぼ完璧と言って差し支えないだろうが、ソフトがまだまだだ。基本的な知識のことではない、そんなことはいくらだって教えられるが、こころは困難だった。感情というものは到底プログラムできるものじゃない、時間によって芽生えさせる物でしかないのだと、俺は良く知っていたからだ。
助手によって服を着せられた少女は、俺の指示に従って二言三言喋り、検査のために一旦別室へと消えた。俺も当然その後を追わねばならなかったのだが、その時に来客があった。
カッカッカ、とパンプスの足音も高らかに、ドアが開けっ放しの(セキュリティにも空調にも問題はない、この区画は他からはかなり切り離された場所にあって、厳重なロックと認証をくぐり抜けなければたどり着けない)研究室に入ってきたのは、しばらく見なかったが見慣れた顔だった。
「あんたこんなところにいたのね!」
きーんと脳天まで貫きそうな声を出す、高校時代の忘れられない思い出の一人である涼宮ハルヒの後ろから、少し笑顔が陰った出資者兼共同経営者が顔を出して嘆息する。止めろ、お前は。
もっともあの頃からハルヒに対しては絶対服従を示していた相手に、この年になって改善を要求するのは酷だろうが。
「論文いくつか読んだわよ、いつもながら平凡な内容だったわね、学会でも評判良くないし……でも学者の目なんて節穴ね」
にやりと口の両端が上がる。いきなり飛び込んできて好き勝手なことを言い出す女に作業員たちは目を白黒させていたが、そんなことを気にするような相手じゃないことなんて俺が一番よーく知ってる。
「あんた、何か面白そうなことをしてるでしょう!」
びしりと指を突きつけてそう言った。昔からこういう奴だった。面白いことや不思議なことが大好きで、変人が多数を占めていた高校の中でも一際目立っていた。有名な涼宮財閥の一人娘だからではなく、自身が頭も運動神経もずば抜けているにもかかわらずやらかすことが突飛で、ぶっ飛んでいたがために。あの頃それに巻き込まれていた仲間が、俺とこいつ――古泉の他にもう二人いて、思い出すと悪くなかった。……その生活の、最後を除いて。
俺は、大学に入ってから昔は畑違いだった理系の道を邁進していた。同じように古泉も、工学関係を。その当時から古泉には莫大な遺産という名の財産があり、古泉はその金のほぼ全てをこの研究所のためにつぎ込んだと言ってもいい。いずれペイできる、というのが詭弁であることなど俺も古泉も解っていて、だがどうしようもなかったのだ。俺の頭にある知識と、俺たちの頭にある思い出が、他の選択肢を与えてくれなかった。
だがとにかく俺は、研究者になって古泉と共に研究所を立ち上げた。そうするしかなかったというのは言い訳で、多分そうしたかったのだ。本命の研究を続ける傍らでバイオ関係の論文を幾つか書き、古泉は特許も幾つか取った。その論文がハルヒの目に止まってこうして押しかけられたのだろうか。目立たない本名に感謝していたというのに。
「落ち着けハルヒ、ここは俺の仕事場だ」
「んなこと言われなくたってわかってるわよ、ちゃーんと全身消毒して白衣に着替えてるのが見えないの?」
その後ろの古泉も同じ格好だ。そしてそろそろ口を挟め古泉、弁明ぐらいはしてもらうぞ。
「……当然応接室でお待ち頂こうとしたのですが、直接見たい、驚かせたいと言われては、僕としてはどうにも出来かねます」
「しろよオーナー」
当然共同経営者とはいえ出資者の方が偉い。よって古泉は俺の上司みたいなものなのだが、そんな感じが一切しないのは今更だ。今となっては古泉がイエスマンをしていなくても世界は崩壊などしないのに。そう、俺がこんなことをしていても、世界は滞りなく回り続ける。例え時計の針を少しばかり早く回しちまっていたとしても、今のところ朝比奈さんから涙ながらに訴えられる事態には陥っていない。
「とにかく――」
「主任? お客様ですか」
助手が戻ってきていた。そして、その後ろには当然、気配をさせない少女が立っている。いつの間にか検査が終わっていたのか、俺と古泉は気が付かれない程度に息を呑んだ。
ハルヒは少女に目を留め、一瞬それが揺らいだ、ように見えた。
「……だれ?」
ハルヒが問う。俺はもう隠しきれないと悟って、少女を促した。
「ほら、挨拶」
「わたしは個体識別番号A-004、彼に作り出されたヒト型人工生命体」
少女は敬語を学習していない。華々しく発表するならそれも必要だろうが、俺たちは必要ないと踏んだのだ。だって、そんなところ見たことがない。黒く艶のない、だが決してガラス玉ではないその目が、見たことのない客を真っ直ぐに見ている。ハルヒは息を呑んだようだった。
「……アンドロイド? 本物?」
「わたしはわたし」
「これが彼の……いえ、僕たちの研究の成果なのですよ、涼宮さん」
ただし内密にお願いしたいのですが、と古泉が釘を刺す。本当はしなくてもいいんだと古泉は解っている、ハルヒは言ってはならないことを言いふらすような真似はしない。
「……すごいじゃないの!」
やがてハルヒは歓声を上げ、少女のあちこちを見て回った。触ることはしなかったが、凄いわと連発しまくり、少女は微動だにしなかった。することを知らないのだ。
「でもあんたにしちゃ情緒に欠けてるわね、この子」
しばらく専門的な質問が矢継ぎ早に飛び出し、それに俺と古泉と、時々答えられることは少女に答えさせ、その後に出てきた台詞がそれだった。
「精神的なところはほとんど弄っちゃいないんだ、まあ見た目はあれだが、中身は実質赤ん坊みたいなもんだ」
「ゆっくりとね、芽生えればいいと考えているのですよ」
古泉がフォローする。感情ではなく、表情ならばプログラムすればどうとでもなる。笑うことも泣くことも、怒ることもさせることができる。だがそれでは意味がないのだ。
「ふうん、これから徐々に覚えさせていくってことね?」
ハルヒは心底楽しそうに、だが爆弾を落とした。
「ならこの子、あたしに預けてくれない?」
「――な、」
できるわけがないだろうが!
叫ぶことは少女の手前出来ず、俺は顔面中に驚愕の表情を浮かべただろう。古泉ですらも絶句している。
「いいじゃないの、あたし気に入っちゃったのよ!」
「あのなあ、犬の子じゃあるまいしそうほいほいと預けられるか! どんだけ精密なメンテナンスがいると思ってんだ!」
「でも番号しか呼び名がないなんて不便ねえ」
「人の話を」
ハルヒは俺のことなど気にせず喋っている。本当は、俺と古泉だけが別名を知っているのだが、それをハルヒに言うわけにはいかない。いかないのだ、が。
「そうね……ユキってどうかしら!」
――瞬間、世界が凍り付いた。
「ハルヒ……」
ようよう滑り出した俺の声は、掠れていたかも知れない。
「何よ?」
事も無げに言うハルヒに、俺はそれ以上何も言えなかった。
ハルヒ、お前は覚えているのだろうか。
あの日々に確かに俺たちの隣にいた、長門有希のことを?
「……古泉、ハルヒとナガトを引き合わせたのはわざとか」
「俺にはわからない、わからないんだ古泉、俺がしたことが正しくなかったことも、自己満足だってのも知っているのに、それでも、俺がどうしたら良かったかなんて、わからないままなんだ!」
「あなたが気に病むことでは、ありません」
「……なんでだろう? あたし、あなたを見てると涙が出そうになる」
「あたしよ! あたしは涼宮ハルヒ、あたしがハルヒなのよ……!」
「わたしは、かえってきた」
こんな話が書きたいなあ!という。専門用語は全部適当なので本気にしないで下さい。前提となる高校が北高ではなく、結構頭が良い人が集まる私立かなんかになっていて、涼宮家と古泉家がお金持ちな設定。ハルヒの能力やらSOS団員のバックグラウンドやらはほぼそのままで、ここでは朝比奈さんが未来に帰って長門が情報統合思念体へ還った際にハルヒの記憶操作をしていったということで。高校時代のハル長は恋人関係ではありませんでしたがハルヒ→←長門ぐらいではあったかと。んでもって長門から故意かそうでないのかはわからないがその知識のかけらを受け取ってしまったキョンと古泉は、思い出と共に長門を今度は地球製ヒューマノイドとして作り出そうとする。キョンは人を一人作る、もしくは再現する、という行為に内心怯えていて、これは長門を冒涜する行為かもしれないと思いながらも止められない。でも脇役。
こういう話のセオリーとしては長門有希の思念精神的なものがユキの体に入って記憶も取り戻してハッピーエンド、なんでしょうけどそれだとユキの精神の行き場がないというのが難点。何よりも生物学的知識がないのが致命的。アンドロイドってロボットとほぼ変わらない意味じゃなかったっけ?と思ってるあたりでダメである。
後この話暗そうだ。
今一番やりたいのがハルヒ古キョン+P4主花主の四人による大学生同じマンション暮らしパロ…。いや冷静に考えると年齢が作中のを引っ張るとペル組が上で現実時間考えるとハルヒ組の方が上になるってのはわかってるんだけどあえての同い年で。
大学進学を機に上京&同居を始めたそれぞれのコンビ。キョンと陽介が大学一緒で、学科どころか学部も違うんだけど何故か基礎クラスで知り合う。その後サークルのお試し飲み会とかで何度か顔合わせて二人とも「底読めないけど悪い奴じゃないな」ってお互いに思い始めたところで飲み会の帰りのタクシーかなんかで同じマンションに住んでいることに気付く、とか。あとキョンと陽介の共通点はバイクだといいと思う。念願の免許+自分のバイクを手に入れた陽介と、買いたいけどまだ金がないキョンがゆくゆくはツーリングするとか。主人公と古泉の方も同じ大学で、こちらは当たり障りのない会ったら話すしレポートの意見交換もするみたいなちょっとした友人的なものになってて、お互いのパートナーが仲が良いのに気が付いてうち解けていく、みたいな。マンションの隣の部屋でも上下でもいい。
お互い男性の恋人持ちってことでシモ系の話をしてみるキョンと陽介とか、陽介の大学での様子をキョンに聞きたがる主人公とか、キョンと主人公の料理の腕についてのろけ合う古泉と主人公とか、高校時代に仲良くしていた女子のレベルの高さについて語り合っちゃう四人とか、ああ見てみたい!でも確実に自分しか楽しくねえー!w
とりあえずキョン視点で陽介を描写してみた↓どうみても古泉贔屓です本当に。
そろーっと空気が動いて、俺の隣に滑り込むように座った人間がいた。俺は確かに通路側を開けて座ってはいたが、席としては中ぐらいに位置する。遅刻してきた人間は後ろの方に座るのがセオリーだろうと後方を見てみると、すでに突っ伏している人々が占領していた。待てお前ら、いくらなんでも寝るのが早すぎやしないか。
そして俺の隣に来た遅刻くんは運が良い、ちょうど出席カードは俺が記入を終えて回すばかりとなっていたのだ。慌てて鞄からペンケースだのを取り出す彼に出席カードを滑らせる。妙に鮮やかな小物の数々が目に焼き付いた。鞄のオレンジさは昨今見かけないレベルであるが、まあ個人の趣味にとやかく言うことはすまい。
渡した出席カードを見て、隣の人間は顔を上げて俺にウインクをかました。
正直な話驚いた。今時ウインクなどを日常的にかましてくる人間は古泉の他はすっかり絶滅したと思っていたのだが、なんとこんなところにもという驚きでもあるし、もう一つある。
なんというか、言ってしまえば簡単なことに、相手の顔が良かったのである。古泉のことを安っぽいアイドルだと称すなら(今や奴にはスーパーのチラシレベルではない色気的な年齢を重ねた者だけが持ちうるフェロモン的な何かを無駄にまき散らしていて腹立たしいことこの上ない)この男はそうあれだ、日曜日の朝からやっている変身する特撮ヒーローの日常パート顔、だ。実際無駄に鼻筋が通っていて顔が全体的に整っているのだが若干垂れ目のあたりが完璧過ぎず親しみやすさを与えている。なんとも女子にモテるんだろうな、という顔だった。羨ましいことである。
この後会話した後のキョンの感想は「顔の良い谷口」になると思う。しばらく経ってからそれは陽介の一部分でしかないことに気が付くんだぜ!
夜は某五人組の番組、日テレのDASHスペシャルを見てました。
その中で、T○KIOvs100人刑事という企画がありまして、様々な形で某五人組が元刑事の方が率いる民間からの応募者刑事と対決するというものなのですが、今回のは五人が協力して五体の「アヒル隊長」を巣に帰すというものでした。都内10箇所に設置された巣に、五人は結託してどこから攻めるかとかパスしたりとか囮になったりとか相談して巣に近付き、刑事たちはそれを予測したり五人を捜したりして阻止したら勝ち、という企画です。缶蹴りだと見つかったら缶蹴るまで見つかった人はお休みなのですが、今回のだと一旦刑事に取り押さえられてもペナルティがないのが良かったです。お察しの通りT○KIO結構好きです。
んで、それを見ながら「これをSOS団でやってほしい…!」と思いました。いやあ、みんな一生懸命走ったり持ってる振りしたりシュートしたりパスしたりと、見ていてどきどきするんですよ。
それでこれを協力してやったら楽しいだろうなあと。さすがに100人も集まらないとしても場所は学校で良いし、刑事側には鶴屋さん妹谷口国木田コンピ研にいっそ会長に黄緑さんに阪中に…もう佐々木団も参加しちゃえばいいんじゃないかな!(無理だ)刑事の数が少ないですけども。でも森さん新川さん多丸兄弟では年が…あっいえ森さんがどうとかではなくてですね、あくまでも近い年齢の方がいいかなというだけですはい。でも新川さんが執事スーツのままで「ここから先は通すわけにはまいりませんな」とか言ったら悶えるほど萌えます。
去年のスパークで出した本でもそうだしその部分で感想をいただけて非常に嬉しかったのですが、走るっていう動作が好きです。爽快感というか一生懸命さというか、ひたむきさや生きている実感でしょうか。投げる、とか受け止める、とか動きがあるのも好きです。今の目標は「集中線が見える文章を書く」です。漫画の表現で見てて一番好きなのは集中線かもしれません。
故に、健全な夏の昼間に、校内をかけずり回る高校生(+小学生)というのは想像するに楽しいものがあります。中庭かどこかでアヒル隊長(アヒルのおもちゃなのですが、SOS団なら腕章でもいいかもしれない。若干投げるの大変ですが)持ったまま追いつめられそうになる古泉に頭上から「古泉!」って声がかかって、反射的に放り投げたら窓から顔を出したキョンが笑って走り出すとか、みくるちゃんが転んじゃって手からこぼれたアヒル隊長をすくい上げて走るハルヒが素晴らしいアンダースローで長門にパスして、長門が突進してくる鶴屋さんを華麗に避けてゴールの巣に投げ入れるとか、想像しただけで楽しいです。
こういう体力・技術勝負ではどうしても朝比奈さんが一歩及ばないところがあるのですが、でも彼女はその分幸運の女神になれると思います。キョンが賛美するほどではなくても、確かに幸運と福をもたらしてくれているレベルで。
また同番組で一番好きなコーナーが「DASH村」なんですが(本まで持っている)あれは真剣に凄いと思います。最初は「地図に載せる」が目標だったはずなんですが、だんだん「日本の技術をみんなで実践する」になっています。
もうSOS団村でも作っちゃえばいいよ、と思いますがさすがにそこまでいくと依存しすぎかと思いましたので一夜の夢でもいいです。
適当に書いてみた。
九月になっても尚その勢力は欠片も衰えちゃいないんだぜとばかりに照りつけていた太陽は、ここ数日でやっと季節の移り変わりに気付いてくれたらしい。もっとも山間にあるこの土地ではかなり涼しげな風が吹くようにはなっていたのだが。それでも秋冬はちゃんと冷えてもらわないと農作物にも影響が出る。
畑の手入れを終えて役場に戻る俺は、帽子をかぶって首からタオルを提げた古泉と連れ立って歩いている。
「今年は順調でなによりですね」
「そうだな、このまま台風も来ないとありがたいんだが」
「霜が降りる前に収穫をしなければなりませんね」
落ちてきた汗を軽くタオルで拭う姿が様になる男ってのは嫌味だね。俺と同じような格好をしているくせに、都会的イケメンの趣が全く消えていないのが不思議でならない。
あぜ道はそう長くない、割とすぐに山羊小屋で騒いでいるハルヒの声が聞こえてきた。掃除をしてやっているのだか山羊と遊んでやっているのだかわからんな。最近作った屋根の上の牧草地では、一番若い子山羊が母山羊と一緒に草をはんでいた。
縁側では長門が、障子に和紙でできた花を貼り付けているのが見えた。穴を修繕しているのだが、その技術は近所に邸宅を構える鶴屋さんから習ったらしい。その手から障子へと咲く場所を変える花の元は、俺たちが木から育てた和紙でできている。さすがに二回目のチャレンジとはいかなかったが。
その長門に茶を差し入れようと出てきた朝比奈さんが、こちらに気が付いて手を振ってくださった。俺と古泉もそれに手を振り返し、朝比奈さんが追加の湯飲みを取りに行っている間にわき水を引いている外の水洗い場で手を洗う。長門は糊がついた刷毛を糊皿の上に丁重に置き、ハルヒを呼びに行ったようだった。
古泉と二人縁側に行けば、盆の上には長門の湯飲み(これも向こうに見える手作りのかまどで各々焼いたものだ。長門とハルヒの湯飲みはお前らどう見ても男用だろうと言いたいぐらいにでかく、朝比奈さんはほとんど一口サイズだが一番絵柄が可愛らしく、俺と古泉のは穴が空いていないだけマシという出来だった。理由? 俺たちのが実験台で最初に焼かれたからさ)とお茶請けのお新香がちょこんと載っていた。これも夏に採れた野菜を漬けたものだ。
俺は古泉と顔を見合わせて、何故か笑った。古泉も首を傾げながらもとにかく楽しそうな笑顔になったので、まあいいとしよう。
向こうから、呼びに行ったのは長門のはずなのにハルヒが長門を引きずって歩いてくる。今度は盆に四人分の茶を持ってきた朝比奈さんは、二人の姿を見て花もほころぶ笑みを落とした。
ハルヒが今度は茶畑の作成に取りかかるとか言いかねんな、と考えながらも俺は縁側に腰を下ろして、少しだけ周りの風景を見渡した。
ああ、今日も村は平和そのものだ。
いいい今軽くサイト巡りしてたら射手座アンソロがああああああ!
ちょまじですかマジですね大マジですねいやっほう!
もうもの凄く応援します凄く楽しみですだってめくってもめくっても射手座。みなさまそれぞれのテイストが足された射手座。……萌えないわけがないじゃないか!
とりあえず九月まで死ねないことが確定致しました。いやいやアニメ二期と驚愕見るまでも死ねませんが。
しかも四月一日のエイプリルフール企画で行われたという射手座SNSのログが!ログが!ぶっちゃけエイプリルフールなんて忘れていて全くPCに触らなくて後で見かけて泣いた企画のログが!
今から読んできますしばらく戻りません。
ついでに↓アップしてからちょっとその気になって作ってみたタイトル群置いていきます。でもこんなに書けないでしょうが。
第三次射手座の日大戦~SOS団よ永遠に~
プロローグ『SOS団、再結成』
第一話『演習にて』
第二話『初陣』
第三話『涼宮ハルヒの昇進』
第四話『消えたキョン』
第五話『大気圏突入』
第六話『未開惑星へ』
第七話『見失った座標』
第八話『過去の遺産』
第九話『タイムリミットは十五分』
第十話『スター・アローン』
閑話『谷口の恋』
第十一話『つかの間の休息』
第十二話『発進不能、緊急事態』
第十三話『古泉一樹の訓練』
第十四話『現れたTFEI』
第十五話『二重スパイ』
第十六話『スクエア作戦』
第十七話『未来から来た男』
第十八話『惑星まるごとぶった切り作戦!』
第十九話『神の座す場所の名前』
第二十話『朝比奈みくるの奮闘』
閑話『国木田の思いつき』
第二十一話『二つの閃光』
第二十二話『長門有希の失敗』
第二十三話『勝利の鍵はどこにある』
第二十四話『宇宙を染める黄緑色』
第二十五話『新宙式のお祝いに』
第二十六話『コンピ研、強襲』
第二十七話『疑念、生まれる』
第二十八話『作戦参謀の誤算』
第二十九話『インパクト・ローリング』
閑話『さよなら、新川さん』
第三十話『その手に踊らされる時』
第三十一話『捜索の矛盾』
第三十二話『朝倉諒子の影』
第三十三話『連合の罠』
第三十四話『道化は踊る』
第三十五話『全ての過去は許された』
第三十六話『戦場の天使』
第三十七話『パーフェクト・ガール』
第三十八話『逆襲の部長』
第三十九話『降り立つのは全ての終わり』
閑話『鶴屋、走る』
第四十話『始まりの遺跡』
第四十一話『狙われた長門』
第四十二話『救いの手』
第四十三話『スターダスト・メモリー』
第四十四話『紺碧の宇宙へ』
第四十五話『決着』
第四十六話『困惑』
第四十七話『確信』
第四十八話『輝きを抱いて』
第四十九話『流星、宇宙を切り裂いて』
第五十話『地球、そして』
エピローグ『そしてSOS団』
ちなみに基本として、『宇宙』は『そら』と読みます。
しかし全機体数数十のスパロボってないな。しかも味方機体は機動兵器×5と戦艦のみ。あんまりなんで多分37話でハルヒの後期機体が、38話で長門の新プログラム完成で従来の機体から長門専用機の機動性と反応が大幅アップ、36話で朝比奈さんの精神コマンド使用ポイントが半減…では小説上意味がないので、移動力アップと補給速度アップ。古泉は34話終了時に追加武装が二つくらい。キョンの新機体は閑話を全てクリアし、なおかつ全員の被撃墜数が計10以下の場合にのみ、40話でゲット。ロストテクノロジーとかそんな感じで。古泉とキョンの合体攻撃追加は16話、ハルヒとみくると長門の合体攻撃は21話から。鶴屋さんの閑話をクリアすると帰還に『超絶カミング粒子砲(全体)』追加。
こういうのを考えるのが一番楽しかったりします。
ハルヒ側が帝国でコンピ研側が連合…であってましたよね。
とりあえず国の名前はいいとして、機体の名前を考えないと不便でなりません。でもなんか『キョン機』とか『古泉くん機』とかになる予感がひしひしと。もしくは品番。
そして戦利品を読んでいるところなのですが、今回がっつりした射手座本があって浮かれ気分です。射手座熱が凄まじく上がっています。だが私に艦隊戦を描写するスキルはない…!一人一艦隊受け持つ原作射手座形式も大好きなわけですが、スペオペの中にラブを入れるならできれば同じ戦艦に乗っていていただきたい。業務上は敬語同士で自室に入ると砕けた言葉になる古キョンが書きたい。古泉は口調変わりゃしませんが。キョンの作戦を全力で推敲しようとする古泉とか、キョンの(地味な)作戦を却下して派手な作戦を打ち立てるハルヒとかそれを素晴らしくサポートしてしまう長門とか作戦の穴をぽろっと見つけてしまって大いにみんなに感謝される朝比奈さんとか!
しかしどうやっても脳内にはスパロボ風射手座しか浮かびません。全員専用機で色とか各部デザインとかサイズとか違って、ほとんど大きさもフォルムも似通ってるキョン機と古泉機が背中合わせで「まだいけそうか?」「座標E-6を重点的に叩けばおそらく」みたいなお肌の触れ合い回線で会話するところとか。※お肌の触れ合い回線:ガ○ダムなどで出てくる状態で、無線を介さず機体同士が触れあうことで会話を交わすこと。多分。
専用機同士に公式回線とは違うSOS団専用回線が入っているとか当然システムの名前はS.O.S.だなとか色々と。
そんな感じで去年の冬あたりに妄想してみたイベントが↓です。
古泉裏切りイベント、スパロボならきっと34話ぐらい。26話あたりの『コンピ研、強襲』で敵勢力の謎の機体と古泉を戦闘させるとフラグが立ちます。そこで一撃で倒してしまえばこの話の裏切りは発生しませんが、その代わり後に古泉の裏切り疑惑が軍内に持ち上がり、全員初期気力-10で出陣することになります。
ちなみに古泉離脱は30話『その手に踊らされる時』くらいで。古泉復帰後、武装追加。
艦長は鶴屋さんです、これは譲れない。
後は謎の設定も発見。二行目は精神コマンド、要するに呪文みたいなものです。尤もイメージなので、本編開始後には出てきません。
SRWパロ(射手座風)機動兵器Ver.
能力は射撃寄りなのになぜか専用機が格闘寄りなキョン。
ひらめき・集中・不屈・脱力・直撃・魂
一時裏切りあり、普段は射撃中心だが裏切り時は命中が落ちる古泉。
集中・必中・直感・熱血・友情・補給
突撃・格闘・超高機動なハルヒ。
加速・直感・集中・熱血・覚醒・魂
修理補給機体、ありったけのフル装甲な精神要員みくる。
不屈・応援・祝福・信頼・脱力・期待
長距離射撃特化、索敵超小型戦闘機搭載の長門。
ひらめき・直感・感応・集中・覚醒・魂
第34話『道化は踊る』
「SOS団のみなさん……こんな形でお会いすることになってしまって申し訳ありません」
こんな事態に陥ってまでなお敬語を崩さない古泉に、キョンはもう笑うしかなかった。その通信に使われた回線は全方位ではなく、SOS団専用の回線だった。長門が、古泉からのそれをシャットダウンしていなかったというのは少々キョンに思わせるものがあったが、今はそんなことを言っている場合ではない。
キョンは珍しくも、誰よりも早く戦場を駆けていた。
いつものように後方からの長門の援護、待機しているみくるの声、苛立ちをぶつけるように敵機を蹴散らすハルヒを感じながらも、誰よりも早く。目標への直線上にいる敵しか相手にしていなかったのだから、後でハルヒに怒鳴られることもあるかもしれないが、そんなことはどうでもよかった。ただ単純に、こんなときいつも機体を並べていた男のもとに辿り着きたかった。
「古泉くん!」
叫ぶようなハルヒの声が通信に混ざる。なんで、と呟くみくるの声が耳に残る。映像を切ってあるからはっきりとはしないが、長門もあの白い顔でその声を聞いているのだろう。
「しかし、今の僕は」
高速で飛んでくるミサイルを回避、撃ち落とす。胸部から実体ブーメランを二本発射し、撃墜した。
「あなたたちの敵だ……!」
キョンは機体の速度をゆるめないまま、機体を目に捕らえた。その機体の背後に浮かぶ母艦らしき黒い戦艦が、幽霊のような影に見えたのは気のせいだっただろうか。
だが間違いはない、キョンには自信があった。己が彼の乗っている機体を間違えるはずがない、という鮮やかな確信が。
「そうかよ!」
一言も発していなかったキョンがそう言ったのは、古泉の機体を真正面に捕らえた瞬間だ。
「あなたですか」
古泉の声はブレてはいなかった。ただ奇妙な落ち着きを、殉教者にも似た響きを内包していた。
キョンはそれが気に入らないとぼやき、周辺宙域を素早くチェックした。有視界内に入るのは古泉の機体と敵戦艦のみ、あとは背後でときたま閃光が走るが、それが味方の爆発光だとは微塵も思いもしなかった。
「古泉、本気か」
青いバーニアの光が瞬くのを、古泉は黒くペイントされた機体の中で見ていた。SOS団内でのパーソナルカラーは緑だったこともあり、共に脱走した機体も緑色でカラーリングされていた。それを塗り直したのは上層部の判断だ。自分の所属する場所をわかりやすくするようにというよりは自覚するようにというその判断に逆らいたくなったのを、古泉は覚えている。それは郷愁に似た感傷だったのか。
キョンの機体は軍服の色とは違う濃い紺に塗られていた。それが宇宙でも輝いて見えていたのは、古泉の目の錯覚だったのだろうか。だが、敵となった今でもその機体は、彼を内包しているというだけで輝いて見えるのだ。
「もちろん本気ですよ」
古泉は見えないとわかっていてもコクピットで肩をすくめた。そして照準をじりじりとキョンの機体に合わせようとして、ひと思いに出来ない自分に愕然とする。
「そうか、わかった」
「ちょっと何言ってんのよキョン!」
静かに答えた彼に文句をつけるハルヒは、数体に囲まれてすぐには身動きが取れない状態にあった。母艦の鶴屋からキョンくんが前に出すぎだよっ、と警告も入っていたが、キョンはそれには答えなかった。
「それなら……お前がそこまで言うなら、俺を撃ってみろ」
誰もが、その通信を聞いた誰もが言葉を失った。
そしてハルヒが我に返るよりも古泉の方が早かった。
「大人しく僕に撃たれてくださると?」
「そうはいかん。抵抗はさせてもらうさ」
「そういえば、演習ではいつも引き分けばかりでしたね……」
世間話のような会話に、誰も割り込めなかった。
ただ耳を傾けながら敵機を撃墜し、そして最後の一機が長門の狙撃によって落とされた。
「ああ、遠慮無く――俺を殺してみろ、お前の手で」
壮絶な声色だった。
古泉はゆっくりとブーストライフルを構える。
「そうさせてもらいましょう、そうすればみなさん、僕がもう仲間ではないのだということがわかるでしょうから」
何かを吹っ切るように、古泉は叫んだ。
「ブーステッド・オン!」
「コネクト・リンク! 起動!」
古泉のライフルに光が集い、キョンの機体の所々に青い光の筋が走る。
それが合体攻撃を行う時の前動作だと、みな気付いていた。
「ちょ、ちょっと! 二人とも止めなさい!!」
慌てふためくハルヒだが、そこからならどんなに飛ばしても間に合わないとキョンは読んでいた。不可能を可能に、現実を奇跡にするのが涼宮ハルヒではあったが、戦闘後の機体は思うように言うことを聞いてくれないだろう。
「行くぜ、古泉」
「行きましょう」
そして常のように呼び掛け合い――二つの機体は飛んだ。
宇宙を切り裂いて、その終着点に互いを選んで。
古泉はキョンに肉薄される前に勝負を付けなければ、勝ち目は薄い。そしてそれを知っていて、古泉はライフルを構えたまま移動をしている。飛び回ったまま射撃をするのは、古泉の得意技でもある。
銃口に収束したエネルギーの塊を見据えながら、キョンはシールドを放った。邪魔だと言わんばかりの行動に古泉は驚かされるが、狙いがずれることはない。
このまま撃て、と自分が叫ぶ。それは連合に下った自分の声だ。
だが、古泉一樹は――?
一気に距離を詰めたキョンが、右のマニュピレーターに握ったビームナイフを突き出そうとしている。
古泉は咄嗟に引き金を引いた。音など聞こえるはずもない真空に、ぐがんと金属がえぐり取られる音が聞こえる気すらした。
キョンの機体は右肩がえぐれている。だが、これは直撃ではない。余波であるが、キョンは回避行動を一切取っていなかった。ならばこれは自分が外したのかと、戦闘中だというのに半ば茫然と見やる。
そしてキョンは右腕が使えなくなったことなど意にも介さずそのまま突っ込み、古泉とすれ違った。
「な……!?」
慌てた古泉が振り返って見たものは、遠ざかるキョンの機体だ。その先には何があるか、考えるまでもない。連合の戦艦が高みの見物をしていた。
背中にどんなもんだと得意げに笑っている彼の顔を幻視して、古泉は動けなくなる。
古泉は知っていた。実はキョンは射撃の方が得意だということを。
古泉は知っている。彼の機体には数少ないながらも射撃武器が常備されていて、こっそりカスタマイズされているということを。
キョンは左手で黒いメガ・ライフルを構えると、一瞬の躊躇もなく前方に向かって撃った。
当然それ一発で沈むほど戦艦はやわではないが、今回古泉が乗せられた艦は旧型の補給艦だった。新型ならまだしも、最新鋭機体の射撃を八発全弾食らい、平気な顔はしていられない。
弾切れのキョンの機体を、撃とうと思えば撃てるにもかかわらず古泉は動けなかった。
背中越しに見える爆発光を信じられない思いで見ていた。
「……どうだ、騙されただろ」
少し得意げなキョンの声が聞こえてくる。
「あなた……あなたという人は」
「お前の考えてることなんかお見通しなんだよ。情報の流し方は半端だわ、通信記録残してるわ、どう考えてもお前が本気で裏切ったわけがない」
脅されてたんだろう? と訊いてくる声に頷くしかなく、それゆえに頷けない。
「あの艦もどうせ監視だろう。大方、ここで手抜いてたら戻った後銃殺とかそういうシナリオだろ」
ぐうの音も出ない。口先で煙に巻くのは古泉の得意技だというのに、頭の中はぐるぐると驚愕と歓喜、焦燥と困惑が混じり合ってまともな思考回路にたどり着けないでいる。
「あのぉ、あたしもそれは今初めて聞きましたけど……」
すみません、と通信機越しにみくるに謝る彼がいる。彼は仲間にも内緒でそんなことを自分の中で結論づけていたらしい。いいえ、とみくるは存外に落ち着いた口調で続けた。
「でも、あたし……ううん、あたしたちはずっと信じてました。古泉くんが本心から裏切ったわけじゃないって。だって、SOS団の仲間なんですから」
柔らかな声は暖かく優しい。これから起こることをしらない未来人の彼女は、きっとコクピットで笑っているのだろう。
「通信記録はわたしの判断で閲覧した。あなたの離脱は外部からの横槍による理由があったものだと推測されたが、その証拠がなかったから。結果あなたのプライバシーを侵害してしまったことを謝る。だけど、わたしはわたしの行動を悔やんではいない。この結果になった今となっては、尚更」
訥々とした声は硬質でも低音でもない。真の切り札である宇宙人の彼女に、情報云々で太刀打ち出来るはずもなかったのだ。
「古泉くん」
ハルヒの改まった声に、流石に古泉は背を正した。
団長の彼女に逆らった罪は如何ほどのものだろうか。
「今回あなたが独断でやったことでSOS団に迷惑がかかったのは間違いないわ。よって、明日から一ヶ月無給労働を言い渡すわ! きりきり働いてもらうわよ!」
それは、赦しに間違いはなかった。最後に敵を倒した場所から移動もしていない全ての可能性、SOS団団長の彼女は、きっと胸を張って快活に笑っている。
「……お帰りなさい、副団長」
「おかえりなさい」
「お帰り」
嬉しさを隠さないハルヒの声に続いて、女性陣はそれぞれ古泉にそう言った。
そして一番近くにいるキョンは、変わらずぶっきらぼうに言うのだ。
「ここまでやって帰ってこないとか駄々こねるようなら、俺が直々に引導渡してやるぞ」
古泉は嘆息する。
なんという人たちだろうか。
守ろうと思って起こしたアクションだった。だから結局、全てはこの優しい人たちのために。
それが全く必要はなかったというのだから、笑えばいいのか泣けばいいのかわからない。
自分が愚かだったのだと、数瞬古泉は目を閉じた。
「ごめんなさい……ただいま、帰りました…………ありがとう」
敵機の影無し、撤収するとのことでキョンと古泉は肩を並べて母艦を目指していた。下手に遠くまで来ていたために、多少時間がかかる。
「ところで、一つ聞きたいのですが」
今回は専用回線を開いているのではなく、機体同士が触れあうことによって漏れないように会話が出来るお肌の触れ合い通信というものを利用していた。
「僕が本当にあなたを撃墜したらどうするおつもりだったんです?」
「お前は当てないと信じてた」
ぴしりと古泉は固まった。面と向かって聞いていなくてよかったと思うほどには、顔面が熱い。
だがキョンは事も無げに否定した。
「というわけでもなく……まあ、撃てないだろうと思ってはいたが、兼ね合い上撃たんわけにもいかないだろうとも思っていた。だから、なんだ」
そこで一旦言葉を切った。恐らく髪をぐしゃぐしゃとかき回しているだろうことが想像でき、今度は面と向かっていた方がよかったなと勝手なことを思う。
「…………お前に殺されるというのも、悪くないもんだと……あーいい、なんでもない、終わりよければすべてよしだ」
顔面が沸騰して死ぬかと思った。
そんな死に方をしたら後生まで語り継がれること間違い無しだが、本気で古泉はそう思った。
だが、同時に彼が自分に殺されるということがないだろうことも気がついていた。彼を殺していたら、SOS団に関わる誰もが自分を許さないだろう。そんな状態に彼が自分を置くことがないと思えるほどには、古泉はキョンの気持ちを理解していた。
「ありがとうございます」
ありったけの気持ちを込めて、感謝を。好きだという想いも、愛情も、何もかもを詰め込んで、礼を。
それが伝わったのか、彼は二度とこんなことすんな、と少しばかり鼻声で応えた。
見上げてみれば、空はいっそ嫌味なほどに澄み渡っていた。雲の欠片も浮かんではいない。どっかの微笑み王子がこれまた嫌味なほど決まっているスマイルとともに放射冷却がどうのこうの、と言っていたのを思い出してますます寒くなり、首をすくめた。
この年の瀬にそんなに気合いを入れて晴れんでもいいのに、と考えちまうのは今日どうせ掃除しかしないだろうという悲哀からかね。
去年は雪山で遭難したり推理ゲームに興じてみたりと盛りだくさんな年末だったが、流石に今年はハルヒもスイスに行きたいだなどとは言いださなかった。夏の合宿で満足したのか三年生に配慮したのかどうかは定かじゃないが。
そんなハルヒが今回企画したのが大掃除大会、だった。
これがまだ一年お世話になった溜り場、部室を掃除するなら解るが、あいにくあの部屋は数日前すでにすす払いを済ませている。
ならば会場となるのはどこかといえば、鶴屋さんのお宅だという。
しかしながらあの広大な鶴屋さんの邸宅には当然それを日々管理しているだろう本職の方々がいるに違いなく、我々素人が押し掛け掃除などしたところで邪魔になるに相違ない、と述べた俺の主張は当の鶴屋さんによって退けられた。
なんでも、鶴屋さんの家は市内に別邸(!)を所有しており、そちらは管理人はいるが必要な時しか大がかりな掃除はしないのでそちらを掃除してもらえばちょうどいいとのことだ。……俺などには鶴屋家の総資産がいかほどあるか皆目見当もつきません。
もちろんそんなことは鶴屋さんと打ち合せ済みだったハルヒは勝ち誇った顔をしていたね。いつかぎゃふんと言わせてみたいものだが、来年どころか今世紀中も無理だろう。
そして一種の様式美の如く残りメンバー三人が否定の意を示すわけもなく(長門は無言、ただしその小さな手にはハルヒから渡されたと思しき『家庭の掃除百選』と題された、普段のものから比べれば薄い本があった。朝比奈さんは少しばかり目を輝かせていたから、鶴屋さんの別邸に興味があるのかもしれない。無理もない、俺から見てもかなりな歴史的建造物だろうからな。古泉に至っては、もうそろそろそれは地なんじゃないかと言いたくなるような笑みとともに「一年の最後に人の役に立つというのもいいことではありませんか。掃除することによって自分の汚れも落とせるとも考えられていたようですし」などとコメントした。ならばこいつの部屋を大掃除したらどれだけ心がきれいになるんだろうな?)、かくして今年の大晦日のSOS団のスケジュールはつつがなく埋まったのだった。使いっぱしり約一名の心は納得していないが。
さらに掃除後は年越しソバ早食い大会なるものが予定されており、間違いなく今年の年越しも見慣れた面子で行うことになるんだろう。それに関しては俺に否やはない。ハルヒも内心楽しみなんだろうさ。そのくせ雪国に行こうとしないのは、あいつの自分的ルールによるものなのかもな。同じことを繰り返すというのは涼宮ハルヒにとって忌避すべきものらしいしさ。
俺としては未だ、自室の掃除を早めに終わらせてまで人様の家の掃除を行うことについて折り合いが付いていなかったりするのだが。年越し風景に文句がないのとはまた別次元なのである。
兄として妹に手本を見せなきゃならんため、自室の掃除は終わっている。母親だの妹だのに見られたくない物もあるしな……。
まあともかく、縁側だの風呂場だのの寒い場所を担当させられる心構えはしとかなきゃならんだろうな。ハルヒが俺に押し付けようとするのは見えているし、そうでなくとも朝比奈さんを凍えさせるわけにはいかん。長門はひょっとしたら体感温度の調節のような器用な真似ができるのかもしれんが、そういう問題じゃない。古泉は……まあ、なんだ、年末ぐらい労ってやってもいいだろ。どうせ年明け後にこき使ってやる予定なんだ。
誰に対してだか解らん言い訳をしつつ、多少急いで足を進める。
前方に見えてきた、実に見慣れた後ろ頭の持ち主を捕まえて答えの解りきった問い掛けをしなくちゃならんからな。
「自分の掃除は終わったのか?」
ってな。
確実に発表時期を逸している。
「人間の平均的な顔を作ると、それは美人になるそうです」
「ほう、それはつまり俺が平凡以下の面だと言いたいわけか」
「いいえそうではありません、平安時代の人の美的感覚と現代人の美的感覚が異なるということはあなたもご存じでしょう?」
「ご存じだが、それがどうした」
「僕はあなたの顔を非常に好ましく思っている、そういうことですよ」
「……ああそうかい」
(だったら最初からそう言え、この阿呆)
朝、登校する前に妹から襲撃を受けた。何かって、それはオレンジ色のシャワーだった。
「……おい」
妹は人に花びらをぶっかけたとは思えない顔でけらけらと笑っている。ぱらぱらと足下に幾つもの小さな小さな花が散らばった。
「摘んできたんじゃないだろうな?」
風が吹けばぽろぽろこぼれる、雨が降れば一斉に散る花の命を無駄に費やすこともないだろう。妹はきちんと首を振った。
「ううん、落ちてるの拾ったんだよー」
キョンくんにおすそわけー、と言って待っていた友人の元へ走っていってしまう。
待て、つまり俺に落ちていた花をぶちまけたわけか。得体の知れない菌とか虫がいたらどうするんだ。今度からそういうことをしたいときは手袋をしておくことをお勧めする。
今さらのように、甘い香りが鼻を掠めた。
「おはようございます」
「はよ」
何故か山登りの最中で古泉と会った。普段は登校時間は合わないが、たまに一緒になったときはこうして共に足を動かしたりする。大抵最初に気付くのはこいつで、声を掛けてくるのもこいつからだ。俺? 俺は朝こうして坂を登っている最中にあまり疲れるようなことはしたくない。
「?……なにか」
古泉はすい、と顔を近づけた。おーい、天下の通学路で何をやっとるか。
「いい香りが、しますね」
「ああ、きんもくせいだな」
金木犀、と古泉はオウム返しに言って目をしぱしぱさせた。
「今朝妹が突然俺に浴びせてきたんだ。自転車に乗ったもんだから、大分匂いは飛んだと思ったが」
「微かに薫っているだけですよ、僕は好きですね」
そう言ってからあ、と古泉は間抜けな声を上げた。それから指先で俺の髪を軽く梳き、
「ついていました」
そうして、指の先っちょに乗っけたきんもくせいの小さな小さな花に口づけた。
俺はよっぽど、そいつは地面に落っこちてたもんだぜと言おうと思ったが、止めた。
実のところ俺はこの小さな芳香剤のような花が嫌いではないのだ。古泉が嫌わないと言うなら、もっといい。
「近所にでっかい木があってな、毎年山ほど花が咲くんだ。今度見に来るか」
「はい、是非」
だが結局、花の盛りのうちに古泉と共にきんもくせいの香りを胸一杯吸い込むことはできなかった。
古泉が来るというちょうどその日に雨が降り、オレンジの小さな花は濡れながらコンクリートの上に散らばるしかなかったのだった。
少し、残念だった。
それから古泉は、来年は是非咲き始めに見に来ましょうねと俺をフォローするようなことを言って、傘を揺らした。
「僕も金木犀が好きですよ」
金木犀は好きです。しかし温暖化の影響で咲き始めが遅くなっているという記事を本日読んで少々愕然としました。植物は凄いなあ。
それとは全く関係のないお話でした。