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忍FES.3出ます!初めての大阪だーインテだー!!
スペースは2号館こ-26b、申し込みは左富です。次富と島が離れているようでちょっぴりしょんぼり。
ぼっち参加ですので良かったらお声かけてください、開場後30分~1時間ほど留守にしていますすみません…。
新刊「あっちはダメ!/A5/28P/¥200」オフ本、四年生と三ろの絡みです。何故だか綾富っぽいシーンありますがCPは迷子富のみ。
コピー本は「いわゆるひとつの/A5/16P/¥100」が、出ると、いいなあと思いつつ原稿中です。左富デート本。
夏コミもスペース頂きました!!
金曜日、西2ホール、た-04aです。
こちらはRO、アサバード参加です。バードの故郷の話が書ければいいなあと予定しています。
ついに忍たまのサーチにも登録。ぴくしぶからの再録が主ですが、パラレル関係はこちらのみであげたいと思っています。
追記からは以前書いていた成長パロ小ネタ二本ですー。左富。
嵐の予兆
月のない夜だった。梢を揺らす風を晒した額に浴びながら、細い木の張り出した枝にしゃがみ込んだ左門はじっと一点を見つめていた。
「雨になるな」
音もなくその隣に降り立った作兵衛は、うんざりとした顔を隠さなかった。彼の登場にも驚くことなく、またそちらに顔を向けることもせずに、左門は否定する。
「いいや」
天候を読むには自信がある作兵衛が訝しげに見つめる先で、左門の唇は確かに笑みを形作っていた。
「嵐になるぞ!」
その目までもが爛々と輝き、光源もないのに星のきらめきを閉じこめたようだとすら思う。その瞳が振り仰ぐ先で、作兵衛はこめかみを押さえて苦い顔をしていた。
「嵐か」
「間違いない」
「お前が言うならそうなんだろうよ……あー、また補修作業が増える」
「大変だな」
頭を抱える当代の用具委員長に、にししと笑いかけるのは当代の会計委員長だ。
「そう思うなら被害を減らすよう努力しやがれ」
「それはあちらに言ってもらわないと困る」
真面目くさった顔で左門が言うと、ようやく作兵衛も苦い色は残っていたが笑みを浮かべた。
嵐は、すぐそこまで迫ってきている。
富松作兵衛の愛情
「上級生は残れよ」
用具委員会の本日の活動を終え、解散の言葉の前に委員長は確かにそう言った。きゃらきゃらと楽しげに解散していく下級生たちを見送って、見慣れた面子が今年の委員長の前に整列する。尤も、代理の言葉が取れただけで真新しいことはないのだが。
「よし。今年度最初の予算会議について打ち合わせを始める」
ああやはり、と葡萄色の装束に身を包んだ四年生三人は肩を落とした。予算会議は訓練の一貫だという名目で、なぜだか毎年会計委員会に対して実力行使に出る場になっている。流石に初めのうちからそんな過酷な経験をしなくてもいいだろうと委員長が下級生を話から外したのもわからなくはない。
特に、来年以降も用具委員会に所属するなら委員長であろうと目されている平太はは組の二人よりも真剣な眼差しだ。四年になっても相変わらず無邪気な一面が抜けていないコンビは、少し嫌そうな顔をしながらも漆喰砲の改良について語る作兵衛の言葉を聞いている。
あの頃の、喜三太やしんべヱがまだ一年だった頃よりもだいぶ伸びた髪を結い上げた作兵衛は、会計委員長が長いつきあいの左門に変わったこともあって一層張り切っているように見えた。
そこで喜三太が手を挙げる。
「せんぱぁい」
「ん? どうした」
「作兵衛先輩が、神崎左門先輩におねだりすれば予算もらえるんじゃないですかぁ?」
「喜三太……!」
変わらぬ間延びした口調で放たれた言葉に、焦ったのは平太だ。平太は、というより近しい仲の忍たまなら作兵衛と左門がただならぬ仲であるのを知っている。作兵衛がからかわれるようなことは好まないことも知っていたからなおさらに、喜三太を咎めるような声を出してしまった。
当の喜三太としんべヱは、そんな手もあるよねと言わんばかりののほほん顔だ。この二人にかかれば、親密すぎる仲もすっごく仲良し、で済んでしまうから恐ろしい。
「あー、それはもうやった」
故に、作兵衛が少しばかり困った顔でそう返したときに、面食らったのは平太一人だった。
「予算もらえそうですかー?」
「それがよ、それとこれとは別だってあいつ聞く耳持たねえでな、やっぱ無理だったわ」
「ざんねーん」
「楽できると思ったのにー」
「そううまくはいかねえってこった」
喜三太としんべヱと会話を交わす作兵衛は常の体だ。
続けるぞ、と粘度の高い漆喰の作り方について語る作兵衛を見ながら、焦って損をしたと平太は思った。
しかし、気になったことがあったので、ひとまず打ち合わせが終了して漆喰砲を片づけながら、作兵衛に聞いてみた。
「先輩は……もし、神崎先輩が予算をくれていたら、どうするつもりだったんです?」
そう聞かれて、きょとんとしてみせた作兵衛は、平太の顔を確認してからにやりと楽しげに笑った。
「そーだなあ? そんな公私混同する奴は会計委員長やる資格はないんじゃねえの?」
「……そうですか」
わかりました、と答えれば豪快に頭を撫で回してくる、この先輩は優しいが厳しい人だった。神崎左門は知らぬうちに命拾いをしていたということになる。いや、あるいは最初から作兵衛の腹には気づいていたのかもしれないが、それを知るすべは平太には無かった。
全く、学年が上がるほど知り尽くしているはずの先輩は深く遠くなる。自分が果たしてそんな最上級生になれるのかどうか、平太は想像してため息をついた。