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あ、他カプ(百合)絡みの話と小話になりますので苦手な方はご注意を。
とりあえず他人様の本を読んでいてハルヒと長門(と朝比奈さん)が仲が良いのを見ると嬉しくなる自分をどうにかしたいと思った。
いやごくごく普通に女子三人組がきゃっきゃしてると嬉しいというのもあるんですが!ハルヒが長門のことを気にしていると嬉しくなる通り越して萌えるんですよダメだな自分!
まあ、そんな脳内ですがなんだか私は、長門が気になってかわいくてしょうがないハルヒと、ハルヒに興味があって手を伸ばしたくてしょうがない長門と、そんな二人を姉か女神か慈母のように慈しみながら眺める朝比奈さんと、そういう女子組を温かい目で見守りつつ自分たちは自分たちでよろしくやってる古キョン、という図のSOS団をこよなく愛しているということに気が付きました。
問題はそんなSOS団は自分の脳内にしか存在しないという点です。もちろん恋愛感情が介在しないSOS団も愛しいことこの上ないですが!
がっつりハル長で一本、それも恋愛が始まるまで書いてみたいのですがなかなか難しそうです。ちとパラレルですがこの間思いついたものがあるので触りだけ。古キョン前提ハル長、予定。
本日も異常なし、と。
俺は昨日取り替えたばかりの白衣が映りこむ分厚いガラスを、正確に言うならその向こう側を眺めてそう記入した。そちらの空間は液体で満たされており、かといって水槽ではない。その中で泳いでいるのは観賞用の熱帯魚ではなく、ましてや食用の魚でもない。水圧に負けないように作られたガラスの筒の中で、眠るようにたゆたっているのは、少女の姿をした人工物だった。
……時間だ。
俺は近くにいた助手に声をかけ、手元のパネルを操作する。室内は別段暗くもなければ、緑色の妖しげな光がそこかしこで瞬いてもいないし、誰かが調合している化学薬品がぼんと爆発したりもしない。至極近代的で清潔なオフィスにも似た、この研究所が俺の職場だった。
ざあっ、と養液(詳しい成分は機密事項であるからして、述べることができない)が排出され、ゆっくりと筒が上がる。実のところ俺は未だに、この瞬間が好きなのか嫌いなのか、自分でも判断がつかない。
「……気分はどうだ?」
少女の濡れた顔の中から、透徹な目がこちらをとらえる。毎回この質問を俺はして、毎回返ってくる答えは同じようなものだ。その間に、助手の一人である女性が少女の肩からタオルをかける。別のタオルで丁寧に養液を拭っていく。少女は俺から目を逸らさない。
「問題ない」
その唇が紡いだのはいつか聞いていたのと同じ声で、俺はその声を聞く度に懐かしいような、とてつもない裏切りをしているような、そんな気にさせられる。だがそんなこと、少女には関係ないのだ。
A-004、それが少女に与えられた固体識別名だった。だがそれではあまりに味気なくて、俺ともう一人だけがこっそりと別の名で少女を呼んでいる。姿形は人間の女の子で、年頃で言えば中学から高校生への境目、だ。そういうふうに、俺が作った。
少女は所謂アンドロイドというやつだった。ロボットとは違う、その全てが無機物で出来てはいない、正しく人工生命体だ。その髪の毛一本、爪の先一つとっても人間と構成物質は変わりやしないが、在り方が圧倒的に違う。少女は受精卵から分裂を繰り返し母なる子宮に育まれて生まれたわけではなく、実際「完成した」当初からこの姿だった。だが成長はするはずだ、理論的には。
恐らく世界で初めて成功したはずの完全人工生命体だったが、俺としては当面学会に発表する気にもなれず、出資者も同じ考えだったのでまだこの小さな研究所内の人間しかこの事実は知らない。
そしてまだ少女のことを完成とは言えないのだった。ハードはほぼ完璧と言って差し支えないだろうが、ソフトがまだまだだ。基本的な知識のことではない、そんなことはいくらだって教えられるが、こころは困難だった。感情というものは到底プログラムできるものじゃない、時間によって芽生えさせる物でしかないのだと、俺は良く知っていたからだ。
助手によって服を着せられた少女は、俺の指示に従って二言三言喋り、検査のために一旦別室へと消えた。俺も当然その後を追わねばならなかったのだが、その時に来客があった。
カッカッカ、とパンプスの足音も高らかに、ドアが開けっ放しの(セキュリティにも空調にも問題はない、この区画は他からはかなり切り離された場所にあって、厳重なロックと認証をくぐり抜けなければたどり着けない)研究室に入ってきたのは、しばらく見なかったが見慣れた顔だった。
「あんたこんなところにいたのね!」
きーんと脳天まで貫きそうな声を出す、高校時代の忘れられない思い出の一人である涼宮ハルヒの後ろから、少し笑顔が陰った出資者兼共同経営者が顔を出して嘆息する。止めろ、お前は。
もっともあの頃からハルヒに対しては絶対服従を示していた相手に、この年になって改善を要求するのは酷だろうが。
「論文いくつか読んだわよ、いつもながら平凡な内容だったわね、学会でも評判良くないし……でも学者の目なんて節穴ね」
にやりと口の両端が上がる。いきなり飛び込んできて好き勝手なことを言い出す女に作業員たちは目を白黒させていたが、そんなことを気にするような相手じゃないことなんて俺が一番よーく知ってる。
「あんた、何か面白そうなことをしてるでしょう!」
びしりと指を突きつけてそう言った。昔からこういう奴だった。面白いことや不思議なことが大好きで、変人が多数を占めていた高校の中でも一際目立っていた。有名な涼宮財閥の一人娘だからではなく、自身が頭も運動神経もずば抜けているにもかかわらずやらかすことが突飛で、ぶっ飛んでいたがために。あの頃それに巻き込まれていた仲間が、俺とこいつ――古泉の他にもう二人いて、思い出すと悪くなかった。……その生活の、最後を除いて。
俺は、大学に入ってから昔は畑違いだった理系の道を邁進していた。同じように古泉も、工学関係を。その当時から古泉には莫大な遺産という名の財産があり、古泉はその金のほぼ全てをこの研究所のためにつぎ込んだと言ってもいい。いずれペイできる、というのが詭弁であることなど俺も古泉も解っていて、だがどうしようもなかったのだ。俺の頭にある知識と、俺たちの頭にある思い出が、他の選択肢を与えてくれなかった。
だがとにかく俺は、研究者になって古泉と共に研究所を立ち上げた。そうするしかなかったというのは言い訳で、多分そうしたかったのだ。本命の研究を続ける傍らでバイオ関係の論文を幾つか書き、古泉は特許も幾つか取った。その論文がハルヒの目に止まってこうして押しかけられたのだろうか。目立たない本名に感謝していたというのに。
「落ち着けハルヒ、ここは俺の仕事場だ」
「んなこと言われなくたってわかってるわよ、ちゃーんと全身消毒して白衣に着替えてるのが見えないの?」
その後ろの古泉も同じ格好だ。そしてそろそろ口を挟め古泉、弁明ぐらいはしてもらうぞ。
「……当然応接室でお待ち頂こうとしたのですが、直接見たい、驚かせたいと言われては、僕としてはどうにも出来かねます」
「しろよオーナー」
当然共同経営者とはいえ出資者の方が偉い。よって古泉は俺の上司みたいなものなのだが、そんな感じが一切しないのは今更だ。今となっては古泉がイエスマンをしていなくても世界は崩壊などしないのに。そう、俺がこんなことをしていても、世界は滞りなく回り続ける。例え時計の針を少しばかり早く回しちまっていたとしても、今のところ朝比奈さんから涙ながらに訴えられる事態には陥っていない。
「とにかく――」
「主任? お客様ですか」
助手が戻ってきていた。そして、その後ろには当然、気配をさせない少女が立っている。いつの間にか検査が終わっていたのか、俺と古泉は気が付かれない程度に息を呑んだ。
ハルヒは少女に目を留め、一瞬それが揺らいだ、ように見えた。
「……だれ?」
ハルヒが問う。俺はもう隠しきれないと悟って、少女を促した。
「ほら、挨拶」
「わたしは個体識別番号A-004、彼に作り出されたヒト型人工生命体」
少女は敬語を学習していない。華々しく発表するならそれも必要だろうが、俺たちは必要ないと踏んだのだ。だって、そんなところ見たことがない。黒く艶のない、だが決してガラス玉ではないその目が、見たことのない客を真っ直ぐに見ている。ハルヒは息を呑んだようだった。
「……アンドロイド? 本物?」
「わたしはわたし」
「これが彼の……いえ、僕たちの研究の成果なのですよ、涼宮さん」
ただし内密にお願いしたいのですが、と古泉が釘を刺す。本当はしなくてもいいんだと古泉は解っている、ハルヒは言ってはならないことを言いふらすような真似はしない。
「……すごいじゃないの!」
やがてハルヒは歓声を上げ、少女のあちこちを見て回った。触ることはしなかったが、凄いわと連発しまくり、少女は微動だにしなかった。することを知らないのだ。
「でもあんたにしちゃ情緒に欠けてるわね、この子」
しばらく専門的な質問が矢継ぎ早に飛び出し、それに俺と古泉と、時々答えられることは少女に答えさせ、その後に出てきた台詞がそれだった。
「精神的なところはほとんど弄っちゃいないんだ、まあ見た目はあれだが、中身は実質赤ん坊みたいなもんだ」
「ゆっくりとね、芽生えればいいと考えているのですよ」
古泉がフォローする。感情ではなく、表情ならばプログラムすればどうとでもなる。笑うことも泣くことも、怒ることもさせることができる。だがそれでは意味がないのだ。
「ふうん、これから徐々に覚えさせていくってことね?」
ハルヒは心底楽しそうに、だが爆弾を落とした。
「ならこの子、あたしに預けてくれない?」
「――な、」
できるわけがないだろうが!
叫ぶことは少女の手前出来ず、俺は顔面中に驚愕の表情を浮かべただろう。古泉ですらも絶句している。
「いいじゃないの、あたし気に入っちゃったのよ!」
「あのなあ、犬の子じゃあるまいしそうほいほいと預けられるか! どんだけ精密なメンテナンスがいると思ってんだ!」
「でも番号しか呼び名がないなんて不便ねえ」
「人の話を」
ハルヒは俺のことなど気にせず喋っている。本当は、俺と古泉だけが別名を知っているのだが、それをハルヒに言うわけにはいかない。いかないのだ、が。
「そうね……ユキってどうかしら!」
――瞬間、世界が凍り付いた。
「ハルヒ……」
ようよう滑り出した俺の声は、掠れていたかも知れない。
「何よ?」
事も無げに言うハルヒに、俺はそれ以上何も言えなかった。
ハルヒ、お前は覚えているのだろうか。
あの日々に確かに俺たちの隣にいた、長門有希のことを?
「……古泉、ハルヒとナガトを引き合わせたのはわざとか」
「俺にはわからない、わからないんだ古泉、俺がしたことが正しくなかったことも、自己満足だってのも知っているのに、それでも、俺がどうしたら良かったかなんて、わからないままなんだ!」
「あなたが気に病むことでは、ありません」
「……なんでだろう? あたし、あなたを見てると涙が出そうになる」
「あたしよ! あたしは涼宮ハルヒ、あたしがハルヒなのよ……!」
「わたしは、かえってきた」
こんな話が書きたいなあ!という。専門用語は全部適当なので本気にしないで下さい。前提となる高校が北高ではなく、結構頭が良い人が集まる私立かなんかになっていて、涼宮家と古泉家がお金持ちな設定。ハルヒの能力やらSOS団員のバックグラウンドやらはほぼそのままで、ここでは朝比奈さんが未来に帰って長門が情報統合思念体へ還った際にハルヒの記憶操作をしていったということで。高校時代のハル長は恋人関係ではありませんでしたがハルヒ→←長門ぐらいではあったかと。んでもって長門から故意かそうでないのかはわからないがその知識のかけらを受け取ってしまったキョンと古泉は、思い出と共に長門を今度は地球製ヒューマノイドとして作り出そうとする。キョンは人を一人作る、もしくは再現する、という行為に内心怯えていて、これは長門を冒涜する行為かもしれないと思いながらも止められない。でも脇役。
こういう話のセオリーとしては長門有希の思念精神的なものがユキの体に入って記憶も取り戻してハッピーエンド、なんでしょうけどそれだとユキの精神の行き場がないというのが難点。何よりも生物学的知識がないのが致命的。アンドロイドってロボットとほぼ変わらない意味じゃなかったっけ?と思ってるあたりでダメである。
後この話暗そうだ。