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「ぱっつぁん、新聞取って」
「はいはい……って銀さん、いつからそんな呼び方覚えたんですか」
「んぁ? 別にいーじゃねえか、細けえこと気にすんなよ」
「まあそうですけどね」
「…………」
「…………」
「新ちゃん、お茶」
「あんたたまには自分で動けよ……」
「いやあ、それも助手の勤めでしょう、新八くん」
「いちいち呼ぶなうざい」
「ちょっ、ひどっ! 酷いよ志村弟! 銀さん泣くよ!」
「泣け。つーか白衣と眼鏡コス時の呼び方すんな」
「うん、そういう発言は自重しようね」
「あんたもな」
「……新八ぃ」
「なんすか」
「ほら、俺としては、なんだ、こう、色々あってな、まあなんか考えてないようで俺の紫色の脳細胞は着々と動いてるわけであって」
「糖まみれの脳みそは役に立つんですか? ていうかそれ腐ってないか紫って」
「糖舐めんなああああ! いいか糖分ってもんはアレだぞアレ、すぐにエネルギーになってその上貯蓄もできるという」
「ああ、体の中に貯めておけるならいちいち摂取する必要もありませんね」
「アレ、銀さん自爆した? 何? これ墓穴?」
「で? 何を考えたってんです」
「ああ、なんだほら、前神楽がぱっつぁんて呼んでただろ」
「ええ、確かに」
「ずるいじゃん」
「……はぁ?」
「神楽だけが呼ぶ呼び方あるのって、ずるいだろ」
「……すいません今僕の灰色の脳細胞が活動を拒否しました」
「再起動しろ」
「…………つまり、だからたまに新ちゃんだの姉上の真似をしたり、わざわざ変な感じで呼んでみたりしてると?」
「そーだ」
「馬鹿じゃないのか」
「この眼鏡、あっさり切って捨てやがった! あーひどーいーなー、銀さん泣いちゃうなー!」
「だから泣けよ。で? 用件は何ですか銀さん」
「へ?」
「突然そんなこと言い出して、本当は他に言いたいことあるんじゃないですか」
「うーわ……眼鏡のくせに察し早いよ、眼鏡なのに。全力眼鏡少年なのに」
「眼鏡関係ねえよ!」
「うん、だからぁ……新八はずるいと思わない?」
「何をですか」
「ほら、なんか気分を変えて、銀時(ハートマーク)とかで呼んでみたいと思わない?」
「ないです。特にそのハートマークがあり得ない」
「なんだよ! ちょっとした変化でマンネリを回避しようとする俺の崇高な試みを一瞬で打破すんな! 打破されるのは眠気だけで充分なんだよ!」
「うっさい天パ。糖尿。給料寄こせ坂田」
「違う! 俺が求めてるのはそんなんじゃありませんー! それとさりげに悪口混ぜるの止めてくんない!? 俺まだ予備軍だから、糖尿じゃないから!」
「すでに確定された未来みたいなもんじゃないすか、嫌だったら節制しろって何回言わせるんだ銀時このやろー働けダメ社長」
「確定されてねええええっ! 常に未来は希望に満ちているのが少年漫画ってもんだろうが!……って、あれ?」
「……なんですか」
「今言ったよねえ、銀時って言ったよね、ねえ」
「さあ」
「思いっきり顔逸らしても無駄だからね新八くん」
「記憶にございません」
「政治家みたいなごまかし方すんなっつの。なあ、面と向かって言うの恥ずかしかったから勢いに紛れて言ったわけ? なあそうなの?」
「……知りません」
「先生、顔赤くして言っても説得力ないです」
「知らねーっつってんでしょうがあ! あんたなんか銀さんで充分です、金輪際呼びません」
「言ったって認めてんじゃん」
「うるさい」
永遠に喋っていそうだ。
銀さんが風邪を引く回(通称グラさんの回)は最高だと思う。
いちいち銀さんと比較する新八とか、かっこいいグラさんとか、おかゆ作る新八とか、襖の隙間から見守る銀さんとか、ぱっつぁんとか、ラストの逆川の字とか!